本シリーズは、事業承継センター取締役・東條裕一が、経営者から聞いた言葉と、経営者として伝えたい言葉を書き留めた「勇気をもらう経営者の言葉」を、一言ずつコラムとして再構成したものです。志や覚悟、そして勇気を、後継者のみなさんと分かち合えればと思います。

起床後4時間を制すものが、人生を制す

なぜ、この言葉なのか

脳が一番活性化しているのは、起床後4時間であると脳科学者が言っていました。家を出るまでに1時間、通勤に1時間かかるとすれば、残るのは2時間です。

この2時間を何に使うかが、人生を決めます。

1日24時間あっても、頭が最も冴えている時間は限られています。その貴重な時間を、メールの返信や事務処理、いつもの仕事に使ってしまうのは、あまりにももったいないことです。

経営者であればなおさらです。一番頭が働く時間は、目の前の仕事を処理するためではなく、これからの会社を考えるために使うべきだと、私は思います。

ルーチンではない時間をつくる

私は、始業より2時間早く出社することをお勧めしています。

まだ電話も来客もなく、社員から声をかけられることもない。誰にも邪魔されず、一つのことをじっくり考えられる貴重な時間です。

この時間には、ルーチンワークを持ち込まない。戦略を練る、新しい事業を考える、商品やサービスの企画をつくる、会社の将来を考える。「今日やらなければならない仕事」ではなく、「これからの会社に必要な仕事」に使うのです。

経営者は、日中になるとどうしても目の前の仕事に追われます。電話が入り、社員から相談され、来客があり、トラブルも起きる。「時間ができたら考えよう」と思っていても、その時間はなかなかやってきません。

だから、考える時間は「空いたら取る」のではなく、先に確保してしまう必要があります。

そして、もう一つ大切なのが、前日までに「明日の朝は何を考えるか」を決めておくことです。せっかく2時間を確保しても、何をするか決めていなければ、結局メールを開き、いつもの仕事を始めてしまいます。

時間を確保するだけではなく、その時間に考えるテーマまで決めておく。そうすることで、朝の2時間が経営者としての仕事をする時間に変わります。

1日2時間だけを見れば、たいした差ではないように思えるかもしれません。しかし、それを1年、5年、10年と続ければ、大きな差になります。

毎日、目の前の仕事だけに追われる経営者と、毎朝2時間、会社の未来を考え続ける経営者。その差は、時間が経つほど大きくなっていくはずです。

後継者のあなたへ

経営者になれば、仕事はいくらでもやってきます。だからこそ、自分の時間をすべて「今日の仕事」に使ってはいけません。

頭が一番働く時間の一部を、戦略や企画、将来の事業など、経営者にしかできない仕事のために取り分けてください。

その時間を毎日積み重ねることが、やがて会社の違いとなって表れてきます。

朝、起きてからの4時間。 あなたは「今日の仕事」に使っていますか。 それとも、「これからの会社」を考えるために使っていますか。