いつの時代も「イマドキの若い奴」が変化を起こす

「イマドキの若い奴」。この若者への苦言は、今に始まったことではないようです。約5000年前のエジプトの遺跡にも同じような言葉が記されていたという説があるほど、古来から繰り返されてきました。「イマドキの若い奴」が反発を受けながらも変化をもたらし、やがて自分自身が次の世代に同じ言葉を向ける。その繰り返しの中で、時代は少しずつ塗り替えられてきたのだと思います。

事業承継の場面でも、この構図は変わりません。会社の中で「イマドキの若い奴」と見られる後継者が、変化をもたらすのです。中小企業庁「2023年版中小企業白書」によれば、事業承継後の企業のうち約6割が事業再構築(新たな事業分野への進出など)に取り組んでおり、そのうち7割超が売上高や付加価値額の増加に「大きく寄与した」「ある程度寄与した」と回答しています。後継者は、会社に変化をもたらす担い手なのです。

承継前後の三年間が、なぜこれほど大変なのか

事業承継の時期は、社長も後継者も、様々な悩みや衝突を抱え、心身ともに疲弊しやすいものです。株式の問題、組織の問題、経営者が会社を去る寂しさ、最高責任者となるプレッシャー。数え切れないほどの課題と向き合い、一つひとつ解決していかなければなりません。その負荷が最も重くのしかかるのは、承継の前後1年ずつ、合計で三年ほどではないかと感じています。会社にとっては、経営者交代のたびに約20年周期で訪れる、大きな試練の期間ともいえます。

ただ、この三年間は、次の時代に向けて会社を変化させ、新たな推進力を得るための挑戦の機会でもあります。実際にチャレンジした会社は、業績向上という果実を手にしています。当事者である社長と後継者にとっては苦しい三年間であっても、会社の長いライフサイクルで見れば、次の20年を生き抜き成長するための大きな転機になり得るのです。誤解を恐れずに言えば、事業承継は会社にとって、むしろポジティブに捉えるべき出来事ではないでしょうか。

チャレンジそのものを目的にしてはいけない

ここで、後継者に一つだけ気をつけていただきたいことがあります。それは、チャレンジを目的にしてしまわないことです。目的はあくまで会社の存続と成長であり、チャレンジはそのための手段にすぎません。

現場でよく見かけるのは、自社の文化や歴史、強みを十分に踏まえないまま、世の中で流行している「かっこいい戦略」をそのまま自社に持ち込もうとするケースです。多くの場合、自社のビジネスモデルに合わなかったり、組織がついていけなかったりして、早い段階でつまずいてしまいます。だからこそ後継者には、自社の”らしさ”を徹底的に知り尽くしたうえで、挑戦することが求められます。

「イマドキの若い奴」でいい

若者が変化を起こし、また次の若者に「イマドキの若い奴」と言われる。その繰り返しが会社の歴史を作っていきます。事業承継を控えた後継者の皆さんには、ぜひこの三年間をチャンスと捉えていただきたいと思います。自社らしさを見失わず、次の一手を放つ後継者であってほしいと願っています。

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