本シリーズは、事業承継センター取締役・東條裕一が、経営者から聞いた言葉と、経営者として伝えたい言葉を書き留めた「勇気をもらう経営者の言葉」を、一言ずつコラムとして再構成したものです。志や覚悟、そして勇気を、後継者のみなさんと分かち合えればと思います。

会社のために嫌われ者になれるか?

なぜ、この言葉なのか

最近、嫌われることを恐れる経営者が増えているように感じます。もちろん、誰だって嫌われたくはありません。社員から慕われ、取引先から信頼される経営者でありたい。それは自然なことです。

しかし、経営者の使命は、好かれることではありません。会社を守り、存続させることです。

会社が続かなければ、顧客に商品やサービスを提供することも、社員の雇用を守ることもできません。だから経営者は、「周囲からどう思われるか」ではなく、「会社にとって何が必要か」を判断の軸に置かなければなりません。

好かれることは目的ではありません。正しい経営を続けた結果として、信頼がついてくればよいのです。この順番を取り違えてはいけません。

会社を守るための覚悟

会社を守ろうとすれば、言いたくないことを言わなければならない場面があります。社員を叱ることもあれば、ときには辞めてもらうという厳しい判断も必要になるでしょう。銀行や取引先に対して、はっきりものを言わなければならないこともあります。

そこで「嫌われたくない」が先に立つと、言うべきことを飲み込み、決断を先延ばしにしてしまいます。そして、経営においては、その先延ばしが会社を危うくすることがあります。

だからこそ、経営者には嫌われ役を引き受ける覚悟が必要です。

「嫌われて上等。俺の使命は会社を守ること!」

これくらい腹をくくれば、社員におべっかを使う必要もなくなります。周囲の顔色ではなく、会社にとって何が正しいのかを基準に判断できるようになります。

経営者に必要なのは、嫌われないための器用さではありません。会社を守るためなら、自分が嫌われ役になるという覚悟です。

後継者のあなたへ

後継者になれば、これまでとは違う決断を求められるようになります。仲の良い社員に厳しいことを言わなければならないことも、先代から続いてきたやり方を否定しなければならないこともあるでしょう。

そんなときに問われるのは、**「自分がどう思われるか」ではなく、「会社にとって何が正しいか」**です。

嫌われることを恐れて、言うべきことを飲み込んでいないでしょうか。先延ばしにしている決断はないでしょうか。

会社を守るために、あなたが引き受けなければならない「嫌われ役」は何でしょうか。

本記事は、事業承継センター取締役・東條裕一の原稿「勇気をもらう経営者の言葉」をもとに構成しています。